授業詳細情報
開設年度 2016 年度
科目コード T206007
授業コード T20600701
授業科目名 信号処理システム論
同上英語名 Signal Processing System
単位数 2.0 単位
開講学科 工学研究科人工システム科学専攻(メディカルシステムコース) (T233)
開放区分  
担当教員 (黒田 輝)
開講時限・
講義室等
後期火曜3限 
工 17号棟 215教室
科目区分
詳細表
2016年入学生:
選択科目S30(T211:工学研究科建築学コース(前期), T212:工学研究科都市環境システムコース(前期), T221:工学研究科デザイン科学コース(前期), T231:工学研究科機械系コース(前期), T232:工学研究科電気電子系コース(前期), T233:工学研究科メディカルシステムコース(前期), T241:工学研究科共生応用化学コース(前期))
シラバス
[授業の方法]
講義
[受入人数]
40
[受講対象]
自学部他学科生 履修可,他学部生 履修可,科目等履修生 履修可
[授業概要]
 システムとはものの見方である。あらゆるものは、それが信号の入力と出力という観点で捉えられれば信号処理システムとなる。本講義ではこのような広い視野の下に我々が科学研究を行なってゆく上で重要と思われる信号処理システムとそれらにおいて利用される信号処理手法を学ぶ。  今日、信号処理と言えば信号を離散化・量子化して扱うディジタル信号処理が主流であるかのように見えるが、それはディジタル計算機を使う場合が多いからである。しかし自然界を初めとして我々の身近にある信号、例えば温度、明るさ、音などはアナログ量であり、信号処理を学ぶ立場からはアナログ・ディジタルの両者に対する処理手法を知っておく必要がある。さらに、例えば動物の神経系などに目を向ければ,両信号処理を区別することすら困難であることにも気づくであろう。  そこで本講義ではアナログ・ディジタルの信号処理を殊更に区別して論じるよりも、むしろ両者に通奏する信号処理の本質を探ることに主眼を置く。もちろん物理量を離散化・量子化することによって生じる固有の問題については十分にフォローする。講義期間の前・中盤は講義形式を取るが、終盤では諸君の各々が興味を持つ分野における信号処理に関する論文を読み、その内容を発表する形式を取る。
[目的・目標]
 広く柔軟な視点で、様々な信号処理システムを捉え、それらにおいて利用されるディジタル信号処理の各種手法を理解できるようにすること、ならびに信号処理関連の論文を読んで理解し、人に分かるように内容を説明できるようにすることを目標とする。
[授業計画・授業内容]
信号と計測との関係から入り、数学的な基礎を理解しながら、各種ディジタル信号処理の手法を学ぶ。また計測に関する考え方を、システム思考学の観点から論じることも試みる。
  1. 信号と計測 現在の科学計測の特徴である多角化、選択化、非線形効果の利用、間接的計測などについて例を用いて紹介する。
  2. 信号と雑音 信号とノイズは同じ発生源を持つ確率過程であることを示し、それゆえに信号は期待値(平均値、分散、自己相関関数)で与えられることなどを説明する。
  3. フーリエ変換とウエーブレット変換 信号の解析法としてのフーリエ変換及びウエーブレット変換の理論を学び、信号に含まれる各周波数成分がこれらの積分型変換によって分離・検出されることを示す。
  4. Z変換とヒルベルト変換 上述の周波数解析法に関連の深いZ変換ならびにヒルベルト変換を知るともに、時間の制約がある場合にはこれらの積分型変換よりも、微分型変換が有効となりうることを示す。例としてMARS(移動自己回帰系)を学ぶ。
  5. 自己回帰モデルならびに最大エントロピー法 信号のサンプリング周期によって決まる周波数分解能を越えるための手法として、自己回帰モデルならびに最大エントロピー法を学ぶ
  6. 零値を用いた逆問題 多項式はその値が0になるところの位置情報(零点)を使って、全体を復元できる。このことはダイナミックレンジのない検出器でも、零点位置を検出することによって信号を復元できることを意味する。ここではその手法と応用例を示す。
  7. 線形最小二乗法 データ間に内在する関係の解析方法としての最小二乗法ならびにその行列表現について深く学ぶ。
  8. 一般化逆行列・特異値分解 最小二乗法などにおいて広く利用される行列解法として固有値分解、特異値分解、正方行列以外の行列に対する逆行列解法について学ぶ。
  9. 多変量解析と非線形最小二乗法 多変量解析においては変量間の関係を規定するパラメータは多次元空間におけるベクトルとなる。関係が非線形になると漸近的な解法が必要になる。ここではガウス―ニュートン法、マーカード法などについて学ぶ。
  10. 非線形最適化 上述の最小二乗法における方法に留まらず、システムを最適化する手法にはさまざまな手法がある。こここでは共役勾配法、シンプレックス法、モンテカルロ法、シミュレーテッドアニーリング法、ニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズムなどを学ぶ。
  11. フィルタリングと信号回復 ノイズが重畳された信号から信号を回復したり、信号の特徴を抽出したりする方法としてフィルタリングがある。ここでは画像処理などに使われる基本的なフィルタリングを初めとして、様々のフィルタリング手法を学ぶ。
  12. 未知成分の発見と分離 複数の発信源からの信号がいくつかの検出器によって得られている場合、成分分析が有効である。ここでは主成分分析、独立成分分析などの手法を学ぶ。
  13. 課題発表1  本講義内容で学んだ知識を用いて、自身の興味ある学術論文における信号処理を読み解き、皆の前で内容を説明する。
  14. 課題発表2  本講義内容で学んだ知識を用いて、自身の興味ある学術論文における信号処理を読み解き、皆の前で内容を説明する。
  15. 課題発表3  本講義内容で学んだ知識を用いて、自身の興味ある学術論文における信号処理を読み解き、皆の前で内容を説明する。
[キーワード]
信号処理, アナログ, ディジタル, システム
[教科書・参考書]
(教科書)南茂夫(監), 河田聡(編), 科学計測のためのデータ処理入門. CQ出版社. (参考書)ジェラルド・M・ワインバーグ(著),松田武彦(監訳). 一般システム思考入門. 紀伊国屋書店など
[評価方法・基準]
課題発表の内容・できばえで理解度を評価する。
[関連科目]
[履修要件]
[備考]
担当教員連絡先 E-mail: kagayak@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp
関連URL  
備考 

, Last modified: Wednesday, 23-Mar-2016 23:00:48 JST, syll Ver 2.80(2016-02-13) by Yas